DXとは何でしょうか?
今回はDXレポートでの用語等を紹介しながら、DXの考え方や課題についての認識を述べていきます。
当社でも日々DXの情報収集を行ってますが、
経済産業省の研究会からはDXを実現していく上での課題・対応策・今後の方向性等が整理された資料や情報が公表されていますので、皆さまも是非参考にされてください。
経済産業省が提唱するDX
DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略です。
似たような言葉として、「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」があります。DXを間違えて認識している人は、この二つと混同していることが多いように思われます。
言葉の関係性を図で表すと以下になります。

経済産業省「DXレポート2」より作成
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004.html
イマイチ、定義された言葉を見てもピンと来ないように思います。一つずつ認識を整理してみます。
①デジタイゼーション
単なるデジタル化を指します。
(例)連絡手段に電子メールを使うことや、紙に書いた勤務表などをデータで管理すること
②デジタライゼーション
デジタル技術を利用することで、これまでの製品やサービスにはなかった付加価値を生み出すことを指します。
言い換えるとデータを分析することで、現在の業務改善につなげることを指します。
つまり、この段階でAIを導入して膨大なデータ分析を行います。AIを導入し、導入効果を確認することはDXではないように思います。
しかし、DXとはこのことだと間違われやすいように感じます。
(例)日々の商品売上実績から将来の商品需要予測をAIで行い、予測結果を基に経営計画を立てること
③デジタルトランスフォーメーション
顧客だけでなく社会全体のニーズを満たし、影響が社会全体にまでおよぶこともあるような試み。
将来的に多様に変化していく社会のニーズに、企業側も柔軟にビジネスモデルを変化させられる状態であることを指します。
すなわち、DXとは社会や市場がどのように変化したとしても、企業は対応できるよう準備できていることと考えられます。
例えば、コロナ禍で多くの企業は売上に打撃を受け、働き方も変わりました。倒産した企業もあります。そうした想定外の社会情勢になっても、倒産することなく対応できる、ということだと思われます。
DXを導入していない企業の問題点
現在の社会は以下の問題を抱えているといわれています。
特に現在各企業で使われている既存システム(レガシーシステム)に焦点があてられています。
※レガシーシステムとは、過去の技術や仕組みで構築されているシステムを指す用語です。1980年~2000年代に作られたシステムを指します。2018年時点で、日本の約8割の企業がレガシーシステムを抱えているそうです。
①システムが複雑化
企業で使用されているシステムがカスタマイズによる機能追加が多く行われたことで、プログラムコードが複雑になっています。
加えて1つの会社内でも部門ごとに使用しているシステムが異なることが多く、会社で一斉にシステム改修することができないことも一因です。
(例)経理部の会計システムと、法務部の契約書管理システムは仕組みが大きく異なる
②システム維持費の高額化
システムが複雑になったことで、それを正常に稼働させるマシンや人件費が高額になってきています。
③IT人材不足によるリスク増大
会社のシステムの仕組みを完璧に把握している従業員はいない、もしくはいたとしても、その従業員が高齢で近い将来いなくなるという会社が多いそうです。
若い人材に今からシステムを完璧に把握させるのは困難です。
サイバー攻撃や災害発生時の対策を取れる人材がいない場合、経済的な損失が大きくなりやすいです。
(参考)経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html
2025年以降に起きる巨大な損失と、経営面の課題
DXを導入していない企業の問題点は上記の通りです。
このまま2025年を迎えると巨大な損失が発生する、と経済産業省で「2025年の崖」という名称で提唱されました。
巨大な損失とは日本経済に年間で最大12兆円(2018年DXレポート掲示時点の約3倍)の損失が発生するということです。
損失を防ぐために動きたいところですが、目下、経営面の課題として以下があります。
①ビッグデータの未活用
インターネットの普及により大量のデータの送受信が行われるようになり、ビッグデータが創出されました。
しかし、日本企業では今持っているビッグデータを活用しようとしていない企業が多いようです。
理由は、システムが複雑になっているため、活用したくてもできない、とのことです。
②最先端技術の未活用
以下の4つが最先端技術といわれています。

しかし日本は、最先端技術の活用が他国と比べ遅れているといわれています。
最先端技術の活用が遅れている理由はシステム維持費の高騰やIT人材不足により、最先端技術に手を出せないことが考えられます。
①と②が合わさって、日本は海外とのデジタル競争に敗北するという損失が発生すると言われています。需要が国内の企業から海外の企業へ奪われてしまうためと思われます。
③サイバー攻撃を防げない
攻撃者(ハッカー)は様々な手段で機密情報を盗み出していきます。技術の発展と同時に攻撃手段も多様に増えているのが現状です。
しかし機密情報を守る会社側はIT人材不足により技術の発展についていけないことで、サイバー攻撃の被害が現在より増加してしまうと考えられます。
以上のような状況を回避するためにDXの推進、すなわち既存システムの見直しが推し進められています。
対応策
ここまでの課題を解決する対応策として、2つ提唱されています。
レガシーシステムの刷新とシステムの再構築
既存システムに問題があるのであれば、それを改修するのが手っ取り早いように見えます。
しかし繰り返しになりますが、既存システムに機能を加えていくこと = システムが複雑になること、なので改修する箇所を間違えると泥沼にはまってしまいます。
また、実務では既存システムを利用する現場サイドの抵抗が大きく、見直しを始めにくいという声も多いのではないでしょうか?
理想的な方法は、既存システムを稼働させたまま、ビッグデータや最先端技術を取り入れつつ一からシステムを再構築し刷新することと思われます。
業務プロセスの見直しからの業務効率化
システムを刷新するとして、既存システムの問題がよくわからないので取り掛かれないかもしれません。
「別に問題ないように見えるから良いかな」という企業もあるかもしれません。
ですが、「わからないということ」は既存システムや今の業務プロセス、厳しくいうなら「現場の不満」を把握できていないかもしれません。
まずは現在の業務プロセスを見直してみましょう。効率化できる箇所があるかもしれません。
最後に
DXは最先端技術を取り入れることと思われがちに見えますが、第一に既存システムを見直すことがスタート地点です。
その後、最先端技術を取り入れる意義を見出し、準備を整えたら取り入れていきましょう。
さらに最先端技術を導入したら、それで終わりではありません。常に業務改善を目的に、自社の状況を分析し適切に次の最先端技術を検討していきましょう。 それがDXだと思われます。
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